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Pete Doherty of The Libertines has utilised Marshall gear throughout his career.
ギターミュージックは死んだ。2000年代初頭、Coldplay(コールドプレイ)や Travis(トラヴィス)のようなエモーショナルなオルタナティヴ・ポップ・バンドが、NSYNC(イン・シンク)やDestiny's Child(デスティニーズ・チャイルド)、ラッパーのEminem(エミネム)らと並び電波を支配していたからです。
グランジ、レイヴ、ブリットポップの興奮は冷めていました。しかし、すぐに新たなバンドが続々と登場し、ギターミュージックの死の宣告が時期尚早だったことを証明することになります。彼らは快楽主義的なニューロック・リバイバルの幕開けとして、だらしないヘアスタイル、怪しいほどタイトなジーンズ、そして多くのファンとの大合唱など、動きをもたらしました。大西洋の両側で、インディーズ・アーティストたちがその後の10年間、ミュージック・プレスやラジオを席巻したのは、まさにこのシーンのことでした。
ギターミュージックは死んだ- 2000年代初頭、マスコミはそう騒いでいたが……。

The White Stripes at Reading Festival, 2002.
イギリスでは、新進のミュージシャンが取り残されることはありませんでした。The Libertinesは(リバティーンズ)、ロンドン中のパブやアパートでゲリラ的にライブを行い、荒っぽい革命を起こしました。彼らは、文学の伝統やイギリスらしさに対するバンドの愛情を反映した「アルビオン(イギリスの古風な呼び名)」や「アルカディア(神話上の楽園)」の物語など、独自の民間伝承やスラングをインディーズ・シーンに織り込んでいきました。その結果、彼らはカウンターカルチャーにおけるヒーローとなり、トリルビーハットをかぶり、ギターを振り回し、タバコを吸う無数の模倣者たちが彼らの後を追いました。イギリス、ショーディッチのパブは、かつてないほどの活気に満ちていました。
ニューヨークであれ、デトロイトであれ、ロンドンであれ、グラスゴーであれ、インディ・リバイバルには予測不可能な混沌とした感覚があり、その興奮は高まるばかりでした。当時はまだ知られていませんでしたが、インターネット以前の時代に誕生し、熱狂的な実社会のコミュニティによって導かれてきた、この種の最後の偉大なシーンのひとつとなりました。今日では「インディー・ディスコ 」的なクラブ・ナイトは深いノスタルジーを呼び起こしますが、面白いことにギターミュージックは生き続けています。
インディーズ・リバイバルには予測不可能で混沌とした感覚があった。

The Strokes backstage at the Fillmore.
The Strokes(ストロークス)は、Julian Casablancas(ジュリアン・カサブランカス)の淡々とした語り口と、The Velvet Underground(ヴェルヴェット・アンダーグラウンド)、The Ramones(ラモーンズ)などを引用したローファイなサウンドで爆発的な熱狂を巻き起こした、この時代最初のビッグバンドでした。それと同時期に、The White Stripes(ホワイト・ストライプス)やThe Black Keys(ブラック・キーズ)のようなサウンド的に繋がりのあるアーティストたちが、ミッドウェストでガレージ・ロック・リバイバルを起こしていました。その間、マンハッタンのダウンタウンのインディーシーンは、アート・パンクのYeah Yeah Yeahs(ヤー・ヤー・ヤーズ)、オルタナ・ロックのTV on the Radio(TV オン・ザ・レディオ)、そして個性的なポスト・パンクのInterpol(インターポール)によって活気を取り戻していました。
この文化的小宇宙は非常に鮮烈で、数年後にはオーラル・ヒストリーの題材として絶賛されることとなりました。Lizzy Goodman(リジー・グッドマン)が2017年に出版した『Meet Me In The Bathroom』(The Strokesの曲名にちなんで命名され、後に2022年に映画化)は、ロウアー・マンハッタンやウィリアムズバーグの不動産市場が好景気に沸くなか、90年代に隆盛を極めた音楽産業が崩壊した、新しいニューヨークの霧に包まれた物語を語ります。9.11同時多発テロを受け、この時期の若者たちは共同体感覚を求め、パーティーやロックミュージックの会場でそれを見出し、Mercury Lounge(マーキュリー・ラウンジ)やArlene’s Grocery(アーリーンズ・グロッサリー)のような会場は、シーンの中心的存在となりました。


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New York art-rockers Yeah Yeah Yeahs pose for a photo. Kyp Malone of TV On The Radio performs live. The Black Keys perform in 2008.