2000年代前半

2008:生まれ変わったマーシャル・アンプの壁

公開日:2022年5月9日

読了時間:5分

ジェイ・Zはマーシャル・スタックをさらに進化させた。

Jay-Z takes the Marshall Stack to another level.

2000年代後半、ジャンルの多様性がミュージック・フェスティバルを一変させると、Marshallは、ステージで大きな存在感を示し、文化的シフトを乗り越えようとするアーティストたちから再び求められるようになりました。

Daft Punk(ダフト・パンク)のようなフランスのエレクトロニック・アクトがラジオを賑わせていた頃、2007年にグラミー賞にノミネートされた大作アルバム『Cross』のツアーをしていたDJデュオ、Justice (ジャスティス)は、Kiss(キッス)やAC/DCのステージを彷彿とさせる、Marshallアンプの壁に囲まれていました。彼らのシンセサイザーを多用したベースメント・レイヴ的なトラックは、マーシャルがそれまで携わってきたロック・バンドとは一線を画していました。しかし彼らは、Coachella、Reading and Leeds、そしてRock en Seineなどのフェスで、DJがギター好きの観衆を魅了するには、Marshallがそのギャップを埋めてくれることを知っていました。

この頃、ヒップホップ界では、Jay-Z(ジェイ・Z)もライブを盛り上げるためにMarshallを使用しました。Noel Gallagher(ノエル・ギャラガー)の抗議にもかかわらず、このブルックリンの大スターは、2008年にGlastonburyのピラミッド・ステージでヘッドライナーを務めた初のラッパーとして歴史に名を刻みました。そのフェスティバルで、Jay-Zは轟音の生バンドをバックに、マイクを持ったMCがギター(斧)を持ったロッカーと同じようなインパクトを与えることができるのだというメッセージを力強く伝えました。

ジャスティス、ロスキレでライブ。

Justice performs live at Roskilde.

その後のJay-Zのツアーやフェスティバル(Rock Am Ring、Isle of Wight Festival、Coachellaなど)への出演は、Marshallの機材(1995年のOasis/オアシスの大ヒット曲『Wonderwal』のレコーディングに使われたモデルも含め)によって最大限に生かされるようになります。超高層ビルのようなMarshallのスタックが、ステージのデジタル背景の一部にもなっています。2010年のCoachellaで『99 Problems』を紹介しながら、Jay-Zは言いました。「10まで上げられると思っていたんだ、でも今夜は......99まで上げてみようぜ」

その後、2022年にKendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)がGlastonburyでヘッドライナーを務めたように、ヒップホップはフェスティバルの主役となり、Jay-Zのミッションは達成されたと言えるでしょう。

ロンドン、フィールド・デイ・フェスティバルでのジャスティスのライブ。

Justice live at Field Day festival, London.

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