彼のシグネチャーであるMarshallアンプの前で演奏するSlash。
Marshallは1987年に創業25周年を迎え、スタイリッシュなアンプをリリースしました。ジム・マーシャルの個人的なお気に入りモデルの1つであるSilver Jubileeは、シルバービニールのカバリングとクロームメッキのパネルで装飾され、それ以前にリリースされたどのMarshallアンプよりも卓越したゲインとシャープな音質を特徴としました。このモデルは、当時最も有名だったギタリストの一人であるGuns N’ Roses(ガンズ・アンド・ローゼズ)のSlash(スラッシュ)と密接な関係を持つことになります。彼が1987年以降のツアーでこのモデルを採用したことで、ヘアメタルの歴史におけるMarshallブランドの地位は確固たるものとなりました。
彼のキャリアを通してMarshallのアンバサダーであったスラッシュ。彼とMarshallとの関係は、実はスタジオで始まりました。1987年、彼のバンドの画期的なデビューアルバム『Appetite to Destruction』のレコーディングに、Marshallのアンプが使われたのです。使用されたのがMarshall 1959だったのか、JMP Super Leadだったのか、それともJCM800だったのかは情報源によって異なりますが、伝説によるとスラッシュはレンタルしたそのアンプに惚れ込んで、貸出元から買い取ろうとしたと言われています。許可が下りなかったとき、彼は返却したくないために盗まれたと主張したとも伝えられています。
「Marshall
スラッシュが必死の手段に訴えざるを得なかったのも無理はありません。このアルバムは史上最高のセールスを記録したアルバムの一つとなり、これまでレコーディングされた中で最も影響力のあるギタートーンが収められています。『Sweet Child o' Mine』や『Welcome to the Jungle』といった曲は、リリースと同時にヘッドバンガー世代のアンセムとなり、それ以来ずっと人々の記憶に残り続けています。
Guns N’ Rosesと1987年のSilver Jubileeシリーズのアンプ。
その後、ジム・マーシャルは何度かスラッシュに救いの手を差し伸ばしています。スラッシュは2012年のLA Times紙に、過去を振り返りながら感慨深く語っています。「ジムの忠実なファンであり、Marshallアンプ愛好家のひとりである僕を、ジムは個人的にとても大切にしてくれたんだ」。さらに「1991年にセントルイスで行われたガンズ・アンド・ローゼズのコンサートで僕のMarshallアンプが壊れてしまった時、ジムは僕のために新品のアンプをデザインしてくれたんだ。それ以来、僕らは友達になったんだ」とスラッシュは話しています。
1996年、スラッシュ自身のMarshallモデルである2555SLは、1987年のSilver Jubilee 2555の仕様を忠実に再現してデザインされ、3000台限定で生産されました。このモデルには、スラッシュと彼の友人でもあるジムのサインが入っていました。その後、スラッシュの2つ目のシグネチャーモデルが登場します。それはガンズ・アンド・ローゼズのアイコニックなデビューアルバムのトーンを再現するために2010年にデザインされたAFD100でした。
Marshallの工場。